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トレーニングの考え方

動作の中の柔軟性と、静止した状態での柔軟性

動作の柔軟性と、静止した状態で単に関節の可動域が大きい事は別の話で、関節の柔軟性があっても動きが硬い選手はたくさんいる。これは、筋に力が入る事により関節可動域が最終域までいかない状態で動いているため、動作中に可動域が小さくなる。エネルギーを出力する際に、脱力し関節可動域を最終域まで持っていき、伸張反射を利用して動作を行う。

反応速度を早くする

頭で考える事により、動きは反射ではなく脳で処理を行うことになる。頭で考えるのではなく、感じる事に重点を置く、人間の動きは、感覚神経→脊髄→脳→脊髄→運動神経という回路でおこっているが、反射は感覚神経→脊髄→運動神経という回路でおこる。よって、脳で考えながら動くのではなく、体で感じながら動くことが必要になる。また、感覚神経の活性が反射回路の伝達スピードの向上につながるので、トレーニングでは手足の感覚や、二点弁別域を小さくしていく。
脱力する事で、関節、筋共に柔らかくなり、これも神経の伝達スピードの向上につながる。

重力を動作に利用する

動作は自分のパワーを使わなくても、重心の位置を変えることで行える。腕も60キロの選手であれば、4.2㎏ぐらいの重量があるが、これを高いところに持ち上げて、脱力すれば、地面に向かって手は4㎏のダンベルを落とすのと同じスピードが出るはずである。しかし、そのスピードが出なくなっているのは、自分のパワーを使って、重さに抵抗している部分があるためである。
これと同じように動き出す動作でも、重心を一度上げると自分のパワーを利用してから動き出し、重力をうまく使えない結果になる。走り出す際も脱力を利用して重心位置を移動することで、パワーを使わず動き出す動作が行える。

コアを鍛える

コアの筋肉を鍛える事で表層の筋の緊張が取れる。また、重心近くの重量を増やし、四肢の遠位部分の筋の重量を減らす事で、重心の移動がスムーズに行えるようになる。丹田に意識を持ち、自分の重心位置がどこにあるかを感じながら動く。
スポーツ選手は腸腰筋が硬い選手が多いが、これは、呼吸が浅くなることで、横隔膜が大きく動かなくなる。これにより、横隔膜とつながっている腸腰筋は代償運動が多くなり緊張が入りやすくなる。よって、腸腰筋を柔らかくするために、呼吸を大きくすることと、呼吸の補助筋の緊張を取ることで股関節が柔らかくなる。

脳に思い出させる

脳は使わなくなった機能を捨てていく性質がある。トレーニング、スポーツは手のひらを閉じた状態で使うことが多いのと、頭の位置を上げた状態で行うことが多い。よって、手のひらを開いた状態で筋力発揮を行ったり、頭の位置が下がった状態、回転した状態で筋発揮を行うことを忘れていく。その機能を思い出させるべく、トレーニングでは頭の位置を変え、手のひらは開いた状態で行う。

五感を使う

脳は一つの処理をするのは得意であるが、複数の処理をさせると動きが止まることがある。典型的なのが、お年寄りが歩行中に誰かに声をかけられると歩行を止める。これと同じように、バランスを取っているときに、音に集中したり、視覚に刺激を入れると途端にバランスを崩す。特に視覚は人間の動作の処理の80%を担っていると言われるが、視覚に頼って動作している選手が多い。視覚に頼るがために、頭の位置が軸から外れ、それによって、筋力低下、肩甲骨の可動域の低下をおこす。視覚だけに頼るのではなく、聴覚、触覚、臭覚、味覚にアプローチする。

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